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歴史映画紹介


アメリア〜永遠の翼〜(2009)


AMELIA/アメリカ・カナダ

監督:ミーラー・ナーイル

<キャスト>  アメリア・イヤハート:ヒラリー・スワンク  ジョージ・パットナム:リチャード・ギア  ジーン・ヴィダル:ユアン・マクレガー  クリストファー・エクルストン  ジョー・アンダーソン ビル   ミア・ワシコウスカ エリノア・スミス  他

2010年劇場公開(ショウゲート)



『アメリア 永遠の翼』 予告編



アメリア・イアハート(1897年〜1937年)は、女性初の太平洋単独横断を果たした女性飛行士として知られる。リンドバーグによる太平洋単独横断から5年後の快挙だった為、ミス・リンディとも称された。知的かつチャーミングな女性であったため、当時はもちろん、現在でも絶大な人気を誇っている、という。1937年7月の赤道上世界一周飛行の途中で、南太平洋で行方不明になった。


映画『アメリア 永遠の翼』の中には一切出てこないのでこの話は蛇足だと思うが、当時は日本との関係が悪化していた時期だったため、現在でも日本軍により撃墜されたとか、捕虜とされ終戦後に帰国して別人としてひっそり生きたとか、東京ローズの正体がアメリアであるという説を唱える者までいるらしい。しかし、日本軍にも日本政府の資料にも撃墜・拘束の記載はなく、アメリアの捜索には日本海軍も艦船を派遣し協力している。そのため、根拠の薄い陰謀論の類であるようだ。


物語は、1928年に夫となるジョージ・パットナムと出会うところから始まる。女性初の大西洋横断に成功し、全米中を熱狂させたアメリアは、一躍時の人となった。広報を担当した出版人のジョージと次第に惹かれ合い、結婚に至った彼女だったが、空への情熱はいささかも衰えることなく、大西洋単独横断や大陸横断、太平洋横断など華々しく活躍する一方、女性飛行士の地位向上のために活動する。しかし、飛行士としての活動を続けるには多額の資金がいる。ジョージに言われて意に沿わない仕事をせざるをえない。私生活でもあくまでも奔放に振る舞うアメリアとジョージの間には亀裂が入り始め、アメリアは別の男性のもとへ走ってしまう。しかし、どんな時でも自分を支えてくれたのは誰であったのかに気付き、ジョージにこれが最後のフライトと誓い、彼女の最大の夢にして最も危険な冒険となる世界一周飛行への挑戦を決意した。


この映画の中では、英雄としてのアメリア・イアハートではなく、あくまで女性としてのアメリア・イアハートに主眼を置かれているように思う。単に、華々しい彼女の業績を書き連ねるのではなく、当時の……現在でもそうだと思うけれど、夢を追うには金がいるという厳然とした現実があり、その現実の部分の方が強調されているように思う。そのためか、全体的に淡々とした印象を受けた。無理やり感動させてやろうというエピソードでも入っていればまた違ったかもしれないが、人によってはつまらない映画と感じるかもしれない。


この映画の一番の残念な部分は、アメリア・イアハートの幼年時代を含めた過去の部分をほとんど描かなかったことだろうと思う。そのため、彼女の空にかける情熱がどこからきているのか、最後のフライトでの彼女の無謀とも思えるフライトへの執着はどこから来るのか、よくわからなかった。肝心の飛行の場面にあまり魅力を感じなかったのも、淡々と描いてしまった以上に、アメリアの情熱の背景が分からなかったせいだと思う。


余談だが、物語は、アメリアが最終フライトで消息を絶つまでを描いている。映画が完成後の2010年12月に太平洋の無人島ニクマロロ島で、小さな骨や1930年代の女性のメイク用コンパクトや割れた鏡、米国製のボトルなどが発見されたと伝えられ、これがアメリアのものではないかと話題になった。現在検証中で2011年9月現在の時点では決着はついていないものの、事実であれば、彼女は無人島でしばらく生き延びていた可能性があるという。冒険家がその先で命を落とすことは珍しくなく、彼女も覚悟はしていただろうと思うが、栄光とも賞賛ともかけ離れた場所で、どのような思いで最期の時を迎えたのだろう。


おススメ度: 全体的に淡々とした印象を受ける。20世紀初めを舞台にした冒険飛行ものとしては、少々物足りなく感じるものの、アメリア・イアハートの伝記ものとして良作だと思う。おススメ度はBにしている。





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