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歴史映画紹介


7月4日に生まれて(1989年)


BORNON THE FOURTH OF JULY/アメリカ

監督:オリヴァー・ストーン

<キャスト>  トム・クルーズ  ブライアン・ラーキン  レイモンド・J・バリー  キャロライン・カヴァ 他

1990年劇場公開(Uni=UIP)



BORN ON THE FOURTH OF JULY - HQ Trailer ( 1989 )



邦題にもなっている7月4日はアメリカの独立記念日(インディペンデンス・デイ)である。1776年にアメリカ独立宣言が出されたことでこの日が独立記念日とされている。イギリスとの過酷な戦争を勝ち抜き、おそらくはアメリカのナショナリズムの原点であろうこの日が、日本の建国記念日(明治憲法が発布された日。あるいは、記紀神話の中で桓武天皇が即位されたとされている日)などとは、全く違った意味をもつであろうことは、容易に想像ができる。


この作品はロン・コーヴィックの同名の自伝小説の映画化であり、オリヴァー・ストーン監督は「プラトーン(1985年)」とこの「7月4日に生まれて」で、自身の従軍経験を生かし、戦争の残酷さとそれが人間に与える深い傷跡を余すところなく描ききった名作を撮りあげた。


物語の主人公ロニーは、7月4日に生まれ、第二次世界大戦に従軍した父を持ち、愛国心豊かに成長した。おりしも、時代はベトナム戦争真っただ中の時代。ロニーは悪の共産勢力を掃討するための戦争を正義と信じ、高校を卒業したのち海兵隊に入隊する。しかし、戦場では、民間人を巻き込んだ戦いが行われ、パニック状態に陥ったロニーは仲間のウィルソンを誤って射殺してしまう。さらに、自身も銃弾によって脊髄を損傷し下半身麻痺になってしまう。帰国したロニーを待っていたのは英雄としての華やかな凱旋ではなく、ベトナム帰還兵に対する非難の声だった。絶望の中、やがて酒におぼれ、精神を病み、家族からも孤立し、メキシコへと渡る。そこでも、自堕落な生活を続けていたが、同じくメキシコで絶望の日々を過ごしていた帰還兵との衝突を経て、ウィルソンの家族に会い、全てを話すことを決意する。


実を言うと、一番嫌いなタイプの映画かなと思ってきた。ベトナム帰還兵の話は、日本にいて知る機会は少ないが、一般市民は帰還兵に対し罵声を浴びせ生卵が投げつけられたり退役軍人に対しては就業などで差別が横行したという。ベトナム戦争に対する反戦運動はやがて過激になり、一部では暴徒化した。もちろんベトナム戦争を肯定する気はないが、自分には、この反戦運動は平和主義者こそ実は好戦的で差別主義的な側面を持っている一例だと思っている。


内容がそれてしまったが、この映画はベトナム戦争の反戦運動を全肯定で捉えている……様に受け取れる。なので、好きか嫌いかの部類では嫌いに入る部類の映画だろうと思っていたのだが、始まってから目の離せない映画だった。PTSDという言葉も一般的ではない時代、心に負った深い傷を誰にも理解してもらえず、しかし、最後は自分の過ちや間違いと向き合い、間違いを正すために新たな一歩を踏み出す。ロニーの辛い辛い生き様を、トム・クルーズがしっかりと演じ切っている。まさか、この映画の3年前に「トップガン」みたいな軍隊のコマーシャル映画の主役をやっていただなんて信じられない。


おススメ度: 「プラトーン」のような強烈なインパクトがないかもしれないが、メッセージ性などはこちらの方が強く感じる。オリヴァー・ストーン監督の作品は好みが分かれるだろうし、気は滅入るかもしれないが、2本ワンセットで観たほうがいい作品。おススメ度はとしている。




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