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歴史映画紹介


バリー・リンドン(1975年)


BARRY LYNDON/イギリス

監督:スタンリー・キューブリック

<キャスト>  バリー・リンドン:ライアン・オニール  レディー・リンドン:マリサ・ベレンスン  シュヴァリエ・ド・バリバリ:パトリック・マギー 他

1976年劇場公開(WB)



Barry Lyndon - Trailer



ウィリアム・サッカリー原作。スタンリー・キューブリック監督作品。スタンリー・キューブリック監督は、よくぞこれほどクオリティの高い、内容的にも多彩な作品を世に送り出せるものだと思うが、この作品も完璧主義者の監督らしい重厚な作品に仕上がっている。内容は、アイルランドの田舎出の青年が頭の回転の速さとハッタリでヨーロッパ社交界で絶頂を経験し転落していく様を描いている。


ャンブルの場面では、当時の雰囲気を出すためにロウソクの光だけで撮影し、見事臨場感ある映像に仕上げている。この撮影を成功させるためにNASA用に開発された「プラナーF0.7」を入手したが、当時使用していたカメラには取り付けることができず、最もレンズ取り付け部の口径が近いカメラを調達し、改造と撮影のための調整に3ヶ月を費やしたという。個人的に、DVDで見るときでも映画を見るときでも作品自体の予備知識を持たないように作品についての情報を持たないようにして見ているので、後であの何気ない場面にも実はそういう苦労があったんだと知ることが多い。映画監督のこだわりってすごい……というより、そういうこだわりを持って、それを苦労に感じない人が名監督と呼ばれるようになるんだろう。


物語の舞台は18世紀。アイルランドの田舎町の農家に生まれたレドモンド・バリーは、初恋だった従姉妹がイギリス人の将校と婚約したことを知って、その将校に決闘を申し込む。そこで将校を殺してしまったため(実際には銃弾が麻弾と取り換えられていたため、相手は死ななかった。)警察から逃れるために首都ダブリンに向かう。ところが、その途中で追いはぎに遭い無一文になったため、イギリス軍に入隊するよりほかなくなる。しかし、そこで友人の戦死を目の当たりした彼は、逃亡を決意しプロイセンへと逃れる。しかし、プロイセンで素性がばれてしまい、再び戦場に送られる。そこで戦功をたてたバリーは、プロイセン警察の密偵として外交官のシュヴァリエを監視するように命じられる。しかし、シュヴァリエが同郷人だと知り、二重スパイとしてシュヴァリエに仕えるようになる。シュヴァリエの国外追放とともに、外国へと逃れたバリーは、ヨーロッパ社交界で有名なギャンブラーとして財産を手に入れた。そうすれば、今度は地位が欲しくなる。そこで、病弱な夫を持つレディ・リンドンに目をつけて籠絡する。そして夫の死後、2人は結婚し、ブライアンという子供をもうけるが、レディ・リンドンと前夫の息子バリンドンはバリーを強く憎んでいた。バリンドンがいずれバリーに破滅をもたらすことを知らないまま、両者の対立は深まっていった。


この作品で、戦争自体の場面はそんなに出てこないが、ともすれば逃げ出すことばかりを考えるようになる末端兵士の辛さがよく出ている。銃を構えた敵兵に、横陣を組み規則正しく前進していく兵士たち。敵も横一列に陣を組み指揮官の命令で小銃が一斉に火を噴く。そのたびに前進する兵がバタバタっと倒れる。時代考証がしっかりされた作品だということだからきっと300年前にもこういう光景があったんだろう。むなしくなる一場面だ。


おススメ度: キューブリックの作品の中ではあまり最初のほうに名前が出てくる作品ではないだろう。しかし、様々な要素を取り込みながら、3時間が決して長く感じなかった。キューブリックの力を改めて感じられる作品になっている。おススメ度はにしている。