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歴史映画紹介


父親たちの星条旗(2006年)


FLAGS OF OUR FATHERS/アメリカ
監督:クリント・イーストウッド

<キャスト>  ジョン・“ドク”・ブラッドリー:ライアン・フィリップ  レイニー・ギャグノン:ジェシー・ブラッドフォード  アイラ・ヘイズ:アダム・ビーチ  ラルフ・“イギー”・イグナトウスキー:ジェイミー・ベル 他

2006年劇場公開(ワーナー)



父親たちの星条旗 (2006) 予告編 FLAGS OF OUR FATHERS Trailer



【硫黄島の戦い】 硫黄島は東京から1500キロの小さな島。現在は小笠原諸島に編入されている。栗林中将以下2万2千の将兵が守るこの島を、米軍は、大量の艦砲射撃、空爆で島の形が変わるほどの攻撃をしたのち昭和20年2月19日から一斉上陸する。守備隊の栗林中将は、深さ20メートル強に縦横無尽の地下塹壕を掘り、硫黄島全体を要塞化し、ゲリラ戦に徹した。当初1週間程度で落とせると踏んでいた米軍は、約1ヶ月を要することになる。3月27日に、硫黄島の日本兵は2万1800人が玉砕。ほぼ全滅した。米軍兵も、2万5千人弱が死傷した。栗林以下幕僚も27日に全員自決した。


クリント・イーストウッド監督が、実在の有名な戦争写真と、写真に登場するジョン・ブラッドリーの息子のジェフリー・ブラッドリーが著した同名のノンフィクションをもとに描く戦争映画。激戦だった硫黄島の戦いだが、その裏で作られた英雄話とそれに巻き込まれた末端兵士たちの姿を描いている。


戦闘場面自体は、スピルバーグが製作にかかわっているだけあって凄い。しかし、国の軍資金集めのために無理やり英雄に祭り上げられてしまった兵士たちの目を通して戦争に対する欺瞞を暴くことに主題を置いているので、敵の日本兵の姿は出てこないし、戦闘場面を見たらこの作品より優れた作品がある。ただ旗を刺した時にそこにいたというだけで英雄に祭り上げられてしまった通信兵やネイティブアメリカンの兵士。彼らは、戦争が終わると忘れ去られていく。


ベトナム戦争以後、アメリカにとって、ただ戦争は賛美するべきものではないという風に映画も変化した感がある。この作品も事実をできる限り忠実に、多大な労力をかけて作っていることに大変素晴らしく感じるが、この作品は傑作にはならなかった。「戦争はただ賛美するべきものではない」というのは当然だと思うが、敵があってこその戦争であり、社会が容認しなければ遂行できないのが戦争である以上、ただアメリカ側から描いたのでは限界があるのだろう。その限界に気付いたからこそ、『硫黄島からの手紙(2006年)』を製作するにいたったのだろう。惜しむらくは、この両作をちゃんとリンクさせてほしかったなぁというところだろうか。


ただ、英雄を無意識でも意識的にでも求めてしまうのはいつの時代、どこの国でもあるのではないだろうか。その裏側に何があるのかは、常に考えながらマスコミでもネットでも見なくてはならないのだろう。


おススメ度: 当初は今作一本で行くつもりだったそうなので、お金の掛け方は『硫黄島からの手紙』をはるかに凌ぐ。一枚の写真をもとに、国家と個人の関係を描こうとしたが、それでは数ある反戦映画の域を出ないことを悟ったのだろうか。感動的で胸に残る秀作だが、実際他の反戦映画と比べて、決して傑出した作品とは思えなかった。おススメ度はにしている。




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