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歴史映画紹介


ネロ ザ・ダークエンペラー(2003年)


Inperium Nerone/イタリア・スペイン・イギリス

監督:ポール・マーカス

<キャスト>  ネロ:ハンス・マシソン  アグリッピーナ:ラウラ・モランテ  ポリデュス:サイモン・アンドリュー  メッサリーナ:ソニア・アキーノ  アポローニアス:フィリップ・カロア  アクテ:リーケ・シュミット  セネカ:マティアス・ハービッヒ 他

TVM



Imperium: Nerone Trailer



紀元1世紀。暴君として知られるローマ帝国の第5代皇帝ネロ。若干17歳で即位したネロは、史実では優秀な側近に恵まれ、最初の5年ほどは善政を敷いたとされる。しかし、何かと政治にも口を出し、自分を操ろうとする母親、アグレッピナを殺したあたりから彼はおかしくなっていく。


この作品では、皇帝家の血を引いていながら、父親が政争に破れ、母アグレッピナは島流しに。ネロは奴隷の身分に落とされてしまう。皇帝が変わったことを機に、島から戻ったアグレッピナ。奴隷の身分から一転、皇族として扱われるようになったネロ。やがて、アグレッピナの策略もあり、ネロは次期皇帝候補になるが、その裏には血みどろの政争劇があった。帝国の頂点に立つと、彼は信じられる人間を失っていき、愛する人にも拒絶される。義弟を母を相次いで排除したネロ。もはや暴走は止められなかった。


史実ではアグレッピナは自身が暗殺されるのを警戒し、食事前に解毒薬を服用するなど対策を立てていた。母殺しは、この作品のように思いつきで行われたことではない。アグリッピナの防護策は功を奏し何度も暗殺を免れている。しかし、最期は「分かっていたこと」と死を受け入れた。


作品の中で、ネロは、かつて自分の父を暗殺し、今は自分の部下となったポリデュスを指し、「私の父を殺した男が、今では唯一信頼できる友人だ」と自嘲気味に言う。国と民衆の幸福のために尽力しようと決めた男が、陰謀と利権と、権力と保身と……政治の世界の理想だけではどうしようもない部分に触れ転落していく。その部分があまり上手く描かれていないかな、という気がする。


ネロの狂気や残虐な部分がイマイチ物足りない。比べようもないがヒトラーやスターリンとさえ並べられる独裁者には思えなかった。理想に燃えた青年の姿と狂気を宿した姿にあまり変化を感じなかった。もっと歪んだ表情や残忍な行為が必要だったと思う。


おススメ度: この作品はどちらかといえばかなりネロ寄りに描かれており、キリスト教徒の寄りで描かれた『クォ・ヴァディス』などで描かれたネロ像とはかなり違うものになっている。ネロはその生い立ちなどに同情できる点もあり、その統治期間が15年もの長きにわたったことを考えると、暴君のイメージは誇張とまでは言わないものの、一面では後世でも高く評価されるような優れた施策も実行に移されていることも忘れてはいけないと思う。作品の中では描かれていないが史実では、その死後、ローマ市民の同情を誘いネロの墓には献花や供物が絶えなかったともいわれる。そういった一面を描いているのは良いと思うものの、おススメ度はにしている通りかなり微妙に感じた作品だった。