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歴史映画紹介


いのちの戦場〜アルジェリア1959〜(2007年)


L'ENNEMI INTIME/フランス

監督:フローラン・シリ

<キャスト>   テリアン中尉:ブノワ・マジメル  ドニャック軍曹:アルベール・デュポンテル  ヴェルス少佐:オーレリアン・ルコワン 他

2009年劇場公開(ツイン)



[French movie] L'Ennemi intime



【アルジェリア解放戦争】 1954年〜1962年。19世紀以後、長らくフランスの支配下にあったアルジェリアで、民族解放に向けた機運が高まり、民族解放戦線(FLN)の呼びかけにより開始される。1958年にFLNが臨時政府を樹立。都市ゲリラ戦が展開された。フランスは200万の兵士を投入し、うち2万7千が犠牲になった。アルジェリア側の死者は30万から60万にも上ると推定されている。1962年にアルジェリアは独立を果たす。フランスでは公式には『北アフリカにおける秩序維持作戦』と呼称されており、1999年になってから法律の改正によって“戦争”と認められた。


フランス現代史のタブーともいえるアルジェリア解放戦争に真正面から向き合った良作。アルジェリア戦争を題材にした映画はこれまでにいくつか制作されているが、そのほとんどが1960年代以前のものであり、近年明らかになりつつあるフランス軍による拷問、虐待といった負の部分にはほとんど触れられていないのだそうだ。


映画『いのちの戦場〜アルジェリア1959〜』の主人公、テリアン中尉は前任者の戦死に伴い、部隊と合流した。そこで見せつけられる、ゲリラやフランス軍によって虐殺された村人やフランス軍による虐待・拷問。少しでも隙を見せれば命を失う過酷な現実。正気を失ったかに見える周りの兵士たちを見ながら、自分だけはこの戦場で正義と理性を保ち続けようと心に誓う。しかし、現実は、テリランの心を、確実に蝕んでいく。


20世紀は戦争の世紀だった。第二次世界大戦以降、ヨーロッパの植民地だった諸民族は次々と独立を果たす。しかし、こと領土という問題に対し、国家が傍観をすることはあり得ないしできない。しかし、そこに投入されるのは、理性ある生身の人間。戦争というのがいかに人を人でなくしていくのか。そして、人で無くなった殺人マシーンのごとく化した人間にしか生き残れない現実。ラストでほとんど正気を失い、人で無くなろうとしたテリランはかつて自分が助けた少年に殺される。ゲリラの仲間になっていた彼の顔を観た時、笑ったかのような表情を浮かべるテリラン。彼はこの瞬間正気に戻ったのだろう。彼の持つ道徳心や理性は、戦場で彼を助けてはくれなかった。死ぬことでしか逃れることのできない狂気。戦争の恐ろしさと、フランス現代史の闇に果敢に切り込んだ力作だと感じた。


おススメ度:「アメリカがベトナムを描いたように、フランスもアルジェリアを描かなければならない」 企画立案者で主演を務めたブノワ・マジメルの弁。戦場の現実に理性を失っていくというストーリーはベトナム戦争もので使い古された感はあるが、ベトナム戦争ものに感銘を受けた世代なんだろうなと思う。映画としての出来は「フランス版プラトーン」というわけにはいかなかったが、おススメ度はとしている。




【アルジェリア解放戦争】