TURNING☆POINT〜世界史(西洋史)を舞台にした歴史映画・DVD紹介のサイト〜


カスタム検索


歴史映画紹介


LOVERS(2004年)


十面埋伏:LOVERS/中国

監督:チャン・イーモウ

<キャスト>  ジン:金城武  シャオメイ:チャン・ツィイー  リウ:アンディ・ラウ 他

2004年劇場公開(ワーナー)



十面埋伏日版預告片



映画『HERO〜英雄〜(2002年)』のチャン・イーモウ監督の豪華絢爛な歴史絵巻。唐の時代の中国を舞台に、3人の男女の愛と交錯する運命の物語。HERO同様、美しい色彩。ただ、個人的には、腐敗した時代を描くのにこの美しい映像はどうだろうという気はした。ストーリー自体は、邦題にもなっているLOVERSの通り、全く立場の異なる男女の愛が物語の中心に据えられており、飛刀門の正義とか朝廷の正義とか、そういうイデオロギーの対立めいたことは出てこない。歴史ものとしてはどうかと思うが、とても芸術的な美しい作品になっていると感じた。


物語となっている9世紀半ばの中国は唐の時代。ちなみに、日本で菅原道真の意見具申によって遣唐使が廃止されたのが894年のこと。日本をはじめ、アジアの各地に影響を与えた唐も、政治の腐敗と政乱によって国力は低下し、それが地方への圧政となって、相次ぐ反乱などにつながった。9世紀の後半になると唐朝の支配地域は長安周辺の限定的なものになっており、907年に唐は滅亡する。その後は、統一するほどの勢力を持つ国もなく五代十国の分裂時代に突入する。まあ……そのあたりの時代背景を考えていては、あまり楽しめないだろう。


物語は腐敗した唐の時代。飛刀門という反政府組織が暗躍していた。その飛刀門の頭目の暗殺に成功した捕吏たち。さらに次の頭目を10日で始末しろという命令が朝廷から届く。しかし新頭目については全く分かっていなかった。遊郭の女の中に飛刀門とつながっている者がいるという情報に基づきジンが潜入する。一番の売れっ子は盲目のシャオミンという娘だったが、彼女は同じく捕吏のリウに剣を向けた。リウはそれをねじ伏せて逮捕した。飛刀門の頭目の娘は盲目だと言われていた。本人か、あるいは飛刀門と大いに関係ありとみたリウはジンにシャオミンの逃亡を助け、飛刀門のアジトまで連れて行かせようと策を練る。上手く助け出して信頼させたジンだったが、これは実はシャオミンの策略だった。たがいに本心を隠して逃走を続ける2人だったが、2人の中には偽らざる感情が芽生えていた。


120分ほどの作品だったが、ひどく長い印象があった。ストーリーはどんでん返しあり、物語としてもよかったと思うのだが、『HERO〜英雄〜』の時にも感じたアクションの長さ。スピーディな動きよりもワイヤーアクションを駆使し人間の限界や重力の法則を無視した動きや、長い滞空時間やスローモーションなどで魅せるアクションは、個人的には話を長くするだけの効果しかないように感じた。もう少し絞れば、もっといい作品になったのではないだろうか。


おススメ度: なんだかんだ言って最後まで楽しめる作品だった。アクションやその映像の美しさ、あるいは主演のチャン・ツィイーを楽しめばいい作品なので、あんまり、時代感のない作品だったと思う。それにしても……飛刀門の連中は結局何がやりたかったのだろう。ジンをわざわざ自分たちのアジトに連れてきたところで何のメリットがあったのか……とちょっと思ってしまった。『HERO〜英雄〜』よりもドラマとしては良いと思ったが、歴史ものとしてはHEROの方が良かったと思う。映像の美しさはどちらも大変に高い作品なので、どちらを先に見るかでまた感じ方が違ってくるのではないだろうか。おススメ度はとしている。




【関連商品】