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歴史映画紹介


レ・ミゼラブル(1998年)


Les・MIserables/アメリカ・デンマーク

監督:ピレ・アウグスト

<キャスト>  リーアム・ニーソン  ジェフリー・ラッシュ  ユマ・サーマン  クレア・デインズ 他

1999年劇場公開(COLTRI)



Les Miserables Movie Trailer



邦題『ああ無情』で知られるヴィクトル・ユゴーの名作小説の映画化作品。パン一斤を盗んで19年間投獄され、世の中を憎んで荒んでいたジャン・バルジャンが、司教の暖かさに触れて改心し、市長にまで上り詰めるも、過去から逃れることはできず逃げ続け、それでもなお本当に大切なものは何なのかを問い続ける物語。原作の内容が長大すぎるため、名場面のダイジェストに思えてしまうが丁寧にまとまった作品になっていると思う。


原作を知らなくても、冒頭のジャン・バルジャンが、泊めてもらった教会で銀の食器やスプーンを盗みだすが、すぐにつかまってしまい司教の元に連れて行かれるが、司教は「これは彼に差し上げたものです。せっかく銀の燭台も持っていくように言ったのに忘れたのかね?」と言って燭台を渡す場面は誰でも知っているだろう。そう言えば小学校のときの道徳の教科書にも載っていた。あの頃は、盗人に追い銭を与えるような行動のどこが立派なのかとひそかに反発したものだったが……。


そのジャン・バルジャンの養女コゼットが好きになった相手が革命派の闘士マリウスだった。この作品の舞台となっているのは19世紀の前半。ナポレオン戦争終結後フランスは王政が復活したものの共和制を求める民衆の動きは抑えられなかった。この作品はそういった革命そのものを取り上げたものではないけれど、革命家たちと軍の衝突の中、マリウスがバルジャンに「未来のために戦わなければならない」と言い、バルジャンが、「未来を作るのは愛なのだ」と語る場面がでてくる。作品のメインテーマのような気がするのだが……ほとんど完全にスルーされてしまった。


バルジャンを執拗に追い続けるジャベール警部との決着の場面は印象的。この作品では、バルジャンの目の前でジャベールを死なせている。両親共に犯罪者というジャベールは、冷徹な法秩序の体現者だった。自らが過ちを犯せば自らに処罰を求めるような人物だった。その彼は、バルジャンに命を救われた。しかし、今度は逆にバルジャンを逮捕することに成功する。しかし、借りを返すつもりなのかバルジャンを逃がすことに決めていた。しかし、犯罪者のバルジャンを見逃すことは自分の信念に反することだった。だから、自らへの処罰として死を選ぶ場面になっている。そして、自由となったバルジャンが歩みだすところで物語は終わっている。


正直、コゼット役のクレア・デインズがかなり勝気な印象を受けるのが気にかかる。もう少し、柔らかいというか守ってあげたいような印象を受ける女優さんのほうがコゼットには適任だったんじゃないかなと思う。ほかにも演出に気になる部分はあったものの、原作の雰囲気を損なわない秀作になっていると思う。


おススメ度: これは名作、の一本に入れてもよいと思う。悲しいかな、原作があまりの名作ゆえに、映像化すると「ここはこう……」とか思ってしまうのは仕方ないかと思う。ラストのジャベール警部の死とそこから歩み去るジャン・バルジャンの微笑になんだか違和感。原作に触れるにもよい作品だと思うので、おススメ度はにしている




【原作】