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歴史映画紹介


スパイ・ゾルゲ(2003年)


日本

監督:篠田正浩

<キャスト>  リヒャルト・ゾルゲ:イアン・グレン  尾崎秀実:本木雅弘  吉河光貞検事:椎名桔平 他

2003年劇場公開(東宝)



『スパイ・ゾルゲ』予告編



【ゾルゲ事件】  太平洋戦争直前の1941年9月から1942年4月にかけてドイツの有力紙の記者でナチス党員として大きな人脈を築いていたリヒャルト・ゾルゲを頂点とするソ連のスパイ組織が警視庁特高一課と同外事課によって摘発された事件。逮捕者の中には近衛内閣のブレーンだった尾崎秀実らも含まれていた。ゾルゲは1944年11月に死刑となる。ソ連は、ゾルゲがスパイであることを否定し、ソ連の諜報史から長らく消された存在になっていたが、1964年11月に、「ソ連邦英雄勲章」が授与されたという。


篠田正浩監督のラストフィルムとしても話題を集めた作品。戦前日本の様相を描きながらコミンテルン(共産主義の国際組織)のスパイとして中国、日本で暗躍したリヒャルト・ゾルゲの姿を描いている。ゾルゲは、日本では最も有名なスパイの一人に数えられるだろうが、風化しつつある事件だったためそれを掘り起こしたとしても価値のある作品かと思う。3時間の大作だったが正直長かったなあ……というのが正直な感想だった。スパイものらしい緊張感に乏しく、ゾルゲの私生活や恋愛的なものに多く時間が割かれていたせいだろうか。自分のイメージを押し付けてはいけないが、ゾルゲは冷徹に国家に忠誠をささげるスパイマシーン。尾崎はどこかお人好しな理想主義者、くらいに描いてほしかったなあと思っている。無駄なシーンやアクションが多く感じる割に、尾崎がゾルゲの何に共感を感じたのかもよくわからない。あれでは尾崎はただの売国奴にしか見えてこない。


CGで合成された東京もあまり奥行きを感じないものだったし、二.二六事件はなんだか忠臣蔵みたいに見える。役者陣、特にゾルゲ役のイアン・グレンの演技は大変魅力的に感じたものの総じて演出力不足に感じてしまった。ただ、日本映画としては破格の大金を投じての製作。しかも描く対象はあのゾルゲ事件、とあって少々期待が大きすぎたかもしれない。先入観なしに見れば、あの時代を感じつつ見られる作品になっていると思う。


物語は本木雅弘が演じる尾崎秀実のもとに検事たちがやってくるところから。尾崎にはスパイの疑惑がかけられていた。1930年代の上海で、朝日新聞の記者だった尾崎は一人の男と出会う。ナチス党員のジャーナリストだったが、その裏の顔はソ連のスパイ、リヒャルト・ゾルゲ。やがて尾崎は帰国するが、彼の前に再びゾルゲが現れる。やがて、ゾルゲに協力するようになり、尾崎はゾルゲの正体と目的にも気付くが、尾崎は彼らとの関係を断とうとはしなかった。


おススメ度: スパイものとしては緊張感に欠ける作品と感じた。忘れ去られようとしている“事件”を再発掘した作品だとは思うものの、篠田監督のラストフィルムとしては……ちょっと。おススメ度はとしている。




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