TURNING☆POINT〜世界史(西洋史)を舞台にした歴史映画・DVD紹介のサイト〜


カスタム検索


歴史映画紹介


サルバドールの朝(2006年)


Salvador/スペイン・イギリス

監督:マヌエル・ウエルガ

<キャスト>  サルバドール・ブッチ・アンティック:ダニエル・ブリュール  オリオル・アラウ:トリスタン・ウヨア  ヘスス:レオナルド・スバラグリア  オリオル:ホエル・ホアン 他

2007年劇場公開(CKエンタテイメント)



Salvador - Trailer



1970年代前半。フランコ独裁政権に反発して反政府運動に加担し、資金調達のために銀行強盗を繰り返し、警官隊と銃撃戦の末、警官殺しで死刑となったサルバドール・ブッチ・アンティック(1948年〜1974年)の実話をもとにした作品。サルバドール寄りには描いているものの、ちゃんと事実に即した1人の青年像を描こうとしていると感じた。鉄環絞首刑(ガローテ)による死刑の場面は、苦しく悔しい。彼には、次の時代を生きてほしかったと感じた。


物語は、サルバドールが警官を射殺し、自分も重傷を負って警察病院に連れ込まれるところから始まる。死亡した警官の死体からは、サルバドールの銃から発射されたのとは別の弾丸も発見されていたが、サルバドールは警官殺しとして死刑となる。前半は、サルバドールがなぜ銀行強盗に手を染め、どのような感覚で犯行が重ねられたかが描かれ、後半では死刑となったサルバドールがその時を迎えるまでを描く。


いろいろと考えさせられる作品でもあり、一見の価値ありと思う作品だが、当時のスペインの政治の情勢などがあまり描かれていないのが難点。自分は日本人なので、どうしても彼らの行動を例えば日本赤軍など60年代〜70年代後半の武力闘争に重ねてしまう面がある。日本の過激派は日本国内では(おそらく)全く評価されていないわけでサルバドール達が現在のスペインでどのように評価されているのかも気になるところ。作中、ブレンコ首相の暗殺の場面も登場する。ブレンコ首相を暗殺したのはETA(祖国バスクと自由)と呼ばれるテロ組織で、民主化が達成されたのちもまるで殺人マシーンと化したかのように政治家や官僚、警察、軍人、はてはスペイン国王から一般市民まで、その標的とされており、歴史上最悪のテロリストの1つとさえ目されている。サルバドール達がこうならなかった可能性は否定できないわけで、銃持って銀行から金を奪って人を殺さなかったことはたまたまでしかない。「どうして、ここまでテロリストをかばわなければならないのか?」 ということを見ている側の人間が理解するためには、「フレンコ政権がどれだけ非道なことをやったのか」を理解しなければならない。でなければ笑いながら銃を振り回して現行強盗をやっている彼らの行動は暴力にカタルシスを感じているだけの自己陶酔にしか見えなくなってくる。


おススメ度: 最後は泣きそうになってしまった話だった。スペインの民主化は70年代後半以降、加速していく。その直前の物語。個人的にも一押しの良作だが、時代背景の描き方が十分ではないと感じたので、おススメ度はにしている。




【関連商品】