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歴史映画紹介


コンクラーベ〜天使と悪魔〜(2006年)


THE CONCLAVE:DAS KONKLAVE/カナダ・ドイツ

監督:クリストフ・スクルーイ

<キャスト>  マヌ・フローラ  ブライアン・ブレッスド  ジェームズ・フォークナー  ロルフ・カニース 他

劇場未公開



The Conclave trailer



タイトルにもなっているコンクラーベとは、カトリック教皇を選出する選挙のことを指す。世界最大の宗教団体のトップに君臨するカトリック教皇だが、後任の教皇を指名することは許されていなかった。ちなみに、コンクラーベとはラテン語のcum claviという語からきているそうで、直訳すると『鍵とともに』。13世紀にクレメンス4世の死後3年もの間空位が続いたことで怒った民衆が枢機卿たちを宮殿に閉じ込めて鍵をかけたという故事からきている、というのが通説のようである。『コンクラーベ〜天使と悪魔〜』では、そのカトリック教皇を繰り広げられる駆け引きや攻防が、1458年のコンクラーベを舞台に描かれる。

主人公ロドリーゴ・ボルジアは、後のアレクサンデル6世であり、チェーザレ・ボルジアの父親である。アレクサンデル6世は世俗化した教皇の代表格のように言われる。教皇の位を枢機卿を買収して手に入れ、一族の繁栄に精力を注ぎ教会の軍事的自立を強め、イタリアに戦火をもたらす一因を作るなどカトリック教皇史上最も悪名高い人物として知られるが、『コンクラーベ〜天使と悪魔〜』の中での描かれ方はどちらかといえば、小回りの利く小才のように描かれている。後の、アレクサンデル6世のよきにつけ悪きにつけ印象的な人生に比べると意外な感じのする描き方のようにも思えるが、ロドリーゴがアレクサンデル6世として即位するのは30年以上先の話。この、良くも悪くも世俗的で、頭はそれなりに良く、好青年といえなくもないこの青年も、この後の人生で色々あったんだろう。

主人公ロドリーゴは、叔父のカトリック教皇カリスト3世の命が終わろうとしていることを恋人ともにいる時に聞かされる。カリスト3世は、親族を次々に要職に登用し、ロドリーゴもその後ろ盾で枢機卿に、ロドリーゴの兄はローマ軍の総司令官になっていた。その後ろ盾がなくなれば2人とも命はない。母国スペインに逃れることを勧める兄に対し、恋人のことを諦められないロドリーゴはローマに残り、枢機卿の一人としてコンクラーベに挑むことを決意する。有力候補者は2人。ルーアン枢機卿デストゥットゥヴィルとシエナ枢機卿ピッコロミニ。デストゥットゥヴィルはフランス王に近い有力な貴族出身で大きな軍事力を動かすことも可能な実務型人間。対するピッコロミニは貧乏貴族出身で短気で激情家だったが、敬虔なカトリック教徒である。デストゥットゥヴィルは、ロドリーゴに自分に協力すれば現在の地位を約束することで味方につけようとする。さらに、自陣への他の枢機卿引き入れを画策するが思ったよりも票は伸びない。スペインへと逃れようとした兄はその途中で殺され、何としても自分に有利になる方に付かなければならない。最後にロドリーゴはいかな結論を下すのか?

正直こんなに面白いドラマになっているとは思わなかった。確かに、スペクタクルがあるわけでもアクションが出てくるわけでも、戦争も宇宙人も出てこない……ひたすら額を突き合わせて話し合っているだけの話といえばそれまでなんだが。枢機卿たちの思惑渦巻く中、繰り広げられる謀略に駆け引き。聖職者と言っても、世界最大の宗教団体のトップを決める選挙だし、金やポストが飛び交う生々しい罵り合い。どこの世界でも一緒だなぁ……観ていてしみじみ思う。

おススメ度: おススメ度はにしている。人物描写やストーリーなど甘く感じる部分はあるものの、個人的にはこういうのが好き、ということで高評価。邦題は明らかに某ヒット作にあやかろうとしたのが見え見えでちょっと……。