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歴史映画紹介


英国王のスピーチ(2010年)


THE KING'S SPEECH/イギリス・オーストラリア

監督:トム・フーパー

<キャスト>  ジョージ6世:コリン・ファース  ライオネル・ローグ:ジェフリー・ラッシュ  エリザベス:ヘレナ・ボナム=カーター  エドワード8世:ガイ・ピアース  ウィンストン・チャーチル:ティモシー・スポール 他

2011年劇場公開(ギャガ)



映画『英国王のスピーチ』予告編



第二次世界大戦時のイギリス国王であり、現女王エリザベス2世の父親でもあるジョージ6世を主人公にした映画。アカデミー賞作品賞など4部門を獲得するなど、高い評価を得た作品。


ジョージ6世は1936年12月、兄であるエドワード8世が民間人の女性と結婚するために退位した後王位についたが、この当時のイギリスは大英帝国の解体が進み国力が衰退していく時期であった。さらに台頭するナチス・ドイツに対しての難しいかじ取りを迫られ、第二次世界大戦では連合国の中核として戦勝国となるもののその傷跡は大きく、戦後の米ソの二大国の対立構造を中心とした世界秩序の中で、イギリスは覇権国としての地位を失った。


この映画『英国王のスピーチ』の舞台は、戦争の機運が高まる1930年代。主人公であるヨーク公(ジョージ6世)は若いころから吃音に悩まされており、様々な治療を受けていたが成果が上がらずにいた。1934年に父のジョージ5世の代わりに行ったスピーチでもそれが原因で大失敗をしてしまい、国民からも失望されてしまう。そんな彼を救うために妻のエリザベスは様々な医師に相談していたが一向に成果は上がらなかった。エリザベスは一縷の望みを託してスピーチ矯正の専門家というオーストラリア人のライオネルという人物のところに連れていく。


ヨーク公相手でも忌憚なく意見を述べるライオネルにヨーク公は反発するが、やがて信頼関係が生まれたかに見えた。しかし、兄であるエドワード6世の結婚問題をめぐり決定的な亀裂が生まれ、ヨーク公はライオネルの元を去っていく。そんな折、ヨーク公に最も恐れていた事態が起こる。エドワード6世が民間のアメリカ人女性と結婚するために退位したのだ。その跡を継ぐのは弟であるヨーク公しかいない。王位を継ぐことなど考えていなかったヨーク公は恐怖し、さらに吃音も治ってはおらず、国民に向けたラジオ放送で再び醜態をさらしてしまう。戴冠式を控えたヨーク公は、再びライオネルに助けを求める。


この作品のクライマックスは第二次世界大戦が勃発し国民を鼓舞するラジオ演説を、ジョージ6世が成功させる場面である。敵であるナチス・ドイツのアドルフ・ヒトラーは、その巧みな弁舌を持ってドイツの最高指導者にまで上り詰めた。苦手な演説を成功させてイギリス国民の尊敬を勝ち取ったジョージ6世。作中で2人が直接対峙する場面はないが、時折挿入されるこの対比が面白い。


おススメ度:映画の中でジョージ6世の吃音が実際以上に誇張されていたり、エドワード8世とウォリス・シンプソンを過剰に品のない、敵対的な人物として描かれていたりといった映画創作上の誇張表現や、時代考証についての疑問を様々な歴史家が指摘している。しかし、本作は脚本家のデヴィッド・サイドラーが30年以上にわたってこの企画を温め続け、2002年にジョージ6世王妃のエリザベス皇太后が亡くなられたことをきっかけに製作がスタートされた。映画としての完成度は絶妙で、良質なエンターテイメントだと思うので、おススメ度はAとしている。




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