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歴史映画紹介


十戒(1956年)


THE TEN COMMANDMENTS/アメリカ・イタリア

監督:セシル・B・デミル

<キャスト>  モーゼ:チャールトン・ヘストン  ラメシス:ユル・ブリンナー  ネフレテリ:アン・バクスター  デーサン:エドワード・G・ロビンソン 他

1958年劇場公開(PAR)



The Ten Commandments - Official Trailer [1956]



旧約聖書の出エジプト記にでてくるモーゼの十戒の映画作品。1923年のリメイク作品。旧約聖書の預言者モーゼが、エジプト人に虐げられるヘブライ人(イスラエル人)を率いて聖地を築くまでを描いている。自分は別にキリスト教徒ではないのであくまでも、エンタテイメントとして、スペクタクル映画としてみたとき、古典的なハリウッド映画の歴史大作としてみたとき、名作と呼ぶに値する作品だと思う。モーゼとラメシス2世の対立や、モーゼとネフレテリ王女の愛憎劇など、人間ドラマとしてもよくできている。有名な、紅海が割れていくシーンは今見ても圧巻。


史実の中では、エジプトに移住したヘブライ人が、新王国の圧政にたえかねモーゼに率いられカナーンへと移住する。その途中のシナイ山で十戒をあらわし、ユダヤ教の教義の基本にもなった。紀元前13世紀のこととされ、『出エジプト記』として旧約聖書の中に記されている。奴隷とされた者が新たな地を目指すのだから、さまざまな困難はあったはずだが、映画の中では“神の奇跡”であっけなく困難は解決されている。


物語は、預言者の信託によってエジプト王ラメシス1世が、新たに生まれた奴隷のヘブライ人の子を皆殺しにするように命じたところから始まる。あるヘブライ人の母親は、泣く泣くわが子を川に流すが、それを引き上げたのは、エジプトの王妃だった。水から引き揚げられた者の意味を込めてモーゼと名付けられたその子は、やがて成長し、才覚を発揮するようになる。しかし、そのことで、王の実子のラメセスと対立するようになる。しかし、自分の出生の秘密を知ったモーゼは彼らと苦難をともにしようと考えるようになる。トラブルからエジプト人の総督を殺してしまったモーゼは砂漠へと追放され、そこで羊飼いに助けられモーゼは、神の山に登り、神の啓示を受ける。


自分が聖書など縁がない人間だから感じるのだろうが、どうして旧約聖書の神は人間をこうも試すんだろう。奴隷からの解放という大義を掲げて“神の奇跡”という“武力”をちらつかせるモーゼの姿は、なんだか、現代の某国の姿とダブって見える。もちろん、奴隷からの解放は正義であり大義である。しかし、闘って得た自由ではなく他人に与えられた自由でしかないから、簡単に道を誤ってしまう。解放からたった数十日で道を誤ってしまったヘブライ人の姿は、人間の愚かさを感じる。このことは肝に銘じておかなければならない。


……にしても、旧約聖書の中でエジプトは事あるごとに“悪役”として描かれている。その起源は紀元前4000年にもさかのぼるエジプトの神は、アブラハムの神に蹂躙されるエジプトの民に何ら救いの手を差し伸べない。そして最後は、現人神としてエジプトに君臨するファラオに、屈服の言葉を吐かせアブラハムの神こそ最高の神だと認めさせる。あの場面に、耐えがたい不快さを感じてしまったのは自分だけだっただろうか。


おススメ度: 古き良きハリウッドの歴史大作ということもありおススメ度はちょっと高めのとしている。後は旧約聖書の内容自体の好き嫌いにもなるのかもしれない。エジプトの側から見たら、あまりに気の毒に思えてくる。




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