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歴史映画紹介


突入せよ!「あさま山荘」事件(2002年)


The Choice Of Hercules/日本

監督:原田眞人

<キャスト>  佐々淳行:役所広司  宇田川信一:宇崎竜童  野間長野県警本部長:伊武雅刀  丸山参事官:串田和美  石川警視正:山路和弘 他

2002年劇場公開(東映)


【あさま山荘事件】 1972年2月15日。武装した連合赤軍兵士5人が長野県軽井沢のあさま山荘に人質を取って立てこもった事件。約10日間にわたって立てこもりを続ける犯人たちに対し、警察官延べ12万人が動員された。警察官に2名の殉職者と27名の負傷者、民間人にも1人の犠牲者を出しながら全員を逮捕、人質を無事救出した。その後の捜査で、連合赤軍リンチ殺人事件(山岳ベース事件)が判明。過激派左翼勢力は国民の支持も理解も失った。


1972年のあさま山荘事件で警視庁警視正として現場で直接指揮を執った佐々淳行氏の著作を映画化。佐々氏の著作は確かにある種の臭みを感じる部分があるが、当時、現場にいた人間にしか分かりえないリアリティがある。


長野県軽井沢で人質立てこもり事件が発生。長野県警は多数の警察官を動員し現場を包囲するが、状況はこう着状態に陥る。警察庁長官の後藤田正晴は事態は長野だけの手に負えるものではないと佐々淳行に丸山参事官とともに現場へ向かい指揮を執ることを命じる。その時、銃の使用など6項目にわたる指示を出される。さすがに佐々も完璧を求める後藤田長官に難色を示すが、それが命令である以上それに従うよりはない。長野へ向かった応援部隊だったが、そこで待っていたのは雪と氷に覆われ、天然の要塞と化したあさま山荘と、自力で解決するから警視庁の応援はいらないと息巻く長野県警幹部たちだった。


内容的には、日本警察かく戦えりの感のある作品で、時代背景や、犯人側の背負っているものが見えてこないし、権力側からしか描いていないという批判もあったそうだが、他にテレビなどでも他に何度も題材にされているし、この作品はこの描き方でいいのだろうと思う。あさま山荘事件の裏話的な作品と言ったほういいのかもしれない。


不祥事の多い警察だが、この事件に関してのみ言えば、1人の人質を救出するために死傷者を出しながらも犯人全員の検挙に至り、後にリンチ殺人事件の全容を解明したことを思えば、警察はよく戦ったといってもいいと思う。それと同時に、多くの民間人が人質のために、何かをしようと行動を起こしたことを考えると、いろいろなことを考えてしまう。


長野県警は映画の中ではどうも道化のような役回りを用意されていたが、それもまた、警視庁幹部として現場に赴いた著者の、偽らざる本音だったのだろう。原作の中で、「危機と喜劇は背中合わせ」という言葉が何度か出てくる。この作品は、「あさま山荘事件」そのものを描いた作品というよりも、長野県警と警視庁、警察庁との警察内部の確執や、命がけのぎりぎりの緊張感の中で出てくるような喜劇にも似た一場面。あの鉄球作戦の前日、翌日殉職することになる内田小隊長に心ならずもかけてしまうことになる一言だったり。警察という組織、警備という特殊な世界に人生をささげた著者の見たあさま山荘事件がしっかりと描かれていると思う。


おススメ度: この作品は、あさま山荘事件を関してはいるものの、あさま山荘事件そのものを描いた作品とは違ってくる。警視庁と長野県警の縄張り争いなどのごたごたを描いている作品で時代も見えてこないし事件の背景も見えてこない。そういう意味では、他の社会運動やあさま山荘事件を扱った映画と一緒に観るべきかもしれない。原作の中で筆者は警備のプロフェッショナルとして第二次安保闘争のころから火炎瓶の洗礼を受け、警視庁管内での極左暴力集団や学生運動と対峙してきたという自負があるから、これまで大規模警備をやったことのない長野県警に対して厳しい目を向けるのは仕方ない。しかし、あくまで長野県警を立てようとする姿勢も書かれている。しかし、映画となると、主人公はスーパーマンのように描かれ、長野県警は必要以上にピエロとして描かれる。それでいて、緊張感や切迫感が弱い。おススメ度はにしている。




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