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歴史映画紹介


ヴェニスの商人(2004年)


The Merchant of Venice/アメリカ・イタリア・ルクセンブルグ・イギリス

監督・脚本:マイケル・ラドフォード

<キャスト>  シャイロック:アル・パチーノ  アントーニオ:ジェレミー・アイアンズ  バッサーニオ:ジョセフ・ファインズ  ボーシャ:リン・コリンズ 他

2005年劇場公開(アートポート=東京テアトル)



Merchant of Venice (2004) [Trailer]



時は16世紀。ヨーロッパ中でユダヤ人に対する迫害は激しいものだった。自由都市ヴェニスも、その例外ではなかった。彼らの一部は高利貸しによって莫大な富を築いていた。このことも、キリスト教徒たちからの攻撃の対象になっていた。他人に金を貸し、その代償として莫大な利子を取る事は、神の御心に反するからだ。


ある時、アントーニオの元に、友人のバッサーニオが訪れて、借金の申し込みをする。バッサーニオはポーシャという女性に求婚するため、金が必要だった。しかし、アントーニオも、その財産のほとんどが積荷として海の上にあった。そこで、アントーニオは自分の名前で高利貸しのシャイロックから金を借りるように提案する。シャイロックは金を貸すことには応じるが、その代わり、もしも、借金が返済できない場合はアントーニオの体の肉を、どこでも一ポンド切り取ることを条件にする。そうして、ポーシャへ求婚し、晴れて結婚することができることになったバッサーニオだった。そのころアントーニオの積荷を載せた船が難破し、アントーニオは財産を失ってしまう。借金が返せなくなったアントーニオに、シャイロックは約束どおり一ポンドの肉……心臓を要求してきた。裁判にも発展したこの事件は、シャイロック有利に進む。友人の危機に駆けつけたバッサーニオだったが、シャイロックの借用書を覆すことはできない。そこに、力強い味方が現れた。


シェイクスピアの名作。書かれた当時の世間の背景などが色濃く繁栄され、当時の生々しいユダヤ人差別の様子が映し出される。シャイロックがアントーニオを殺そうとした理由はもともとは莫大な財産を持ちながら蔑視されてきたことで抱いた、社会に対する屈折した感情があった。最後はシャイロックが言い負かされ、それどころか今度は自分の命さえ危うくなる。むしろ気の毒に感じてしまうのは、そういった背後があるせいだろう。昔は悪い金貸しを、機知で痛めつけるという勧善懲悪の話だと思ったが、こんなに残酷な話だったのか……と。アル・バチーノの重厚な演技がその残酷な物語をさらに盛り上げている。


ポーシャとバッサーニオのラストの指輪の話はほっとする場面だった。話の作りも正道的で奇をてらったつくりはしていない。シェイクスピア作品の魅力を再確認できる作品だと思う。


おススメ度: 正直なところ……アル・パチーノの怪演が一番印象に残り、他のキャラクターの印象が弱く、ユダヤVSキリスト教徒の趣が強く感じて仕方ない。ユダヤ人への差別を前面に押し出しながら、最後はキリスト教徒のポーシャに徹底的にやりこめられ、キリスト教徒に娘まで奪われる。あんな茶番劇を延々続けなくても、「借金を命で清算することは許されない」「行えば死ぬことが確実な行為を司法は認めない」とでも言えば済むことだろうに。真面目なシェイクスピア作品であり、アル・パチーノのシャイロックは一見の価値ありということで、おススメ度はにしている




【原作】