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歴史映画紹介


ゼア・ウィル・ビー・ブラッド(2007年)


There Will Be Blood/アメリカ

監督:ポール・トーマス・アンダーソン

<キャスト>  ダニエル・プレインヴュー:ダニエル・デイ=ルイス  ポール・サンデー/イーライ・サンデー:ポール・ダノ  ヘンリー:ケヴィン・J・オコナー   フレッチャー:キアラン・ハインズ  H.W:ディロン・フレイジャー 他

2008年劇場公開(ディズニー)



映画『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』予告編1



1927年にアプトン・シンクレアの古典的名作『石油!』の映画化。正直、作品を見た感じダニエル・デイ=ルイスの怪演がなければ凡作になってしまっていたように思う。20世紀の初頭――『黒いゴールドラッシュ』に沸くアメリカを舞台に、底辺からのし上がるために石油を掘って掘って掘りまくり、莫大な財産を手に入れた後も強欲に他人を陥れていくダニエルの姿は、だがしかし、こういった人間がアメリカや現代の社会を築いたのだろうなと思うと、怪物と呼ぶこともできないような感じがする。


その対極として登場するのが、牧師のイーライ。ダニエルに、自分の実家の所有地から石油が出ることを教えた(つまりは家族を売った)ポールの弟。彼も、決して正直者ではない。金や名声を手に入れるために神の名を利用している。しかし、イーライは失敗者となり、ダニエルにすがることになる。ダニエルは、強欲で、自分以外を信じない利己主義者。しかし、発掘中に死者が出るとできるだけ丁寧に弔うように命じる。息子のH.Wが聴力を失えば本気で心配し、最高の状況で勉強できるように計らう。そのH.Wに対しても、自分の手ごまではなくなった途端に容赦なく切り捨てる。ダニエルは自分に正直だった、ということだろうか。自分の成功のためだけに生きて、利用できるものは利用する。彼は、何度か愛情や家族などを望んでいるように見える場面が出てくる。しかし、それも自分には、利用できる存在として、でしかないように思える。その反面、イーライは嘘つきだった。嘘で塗り固めた善人の仮面の下で、成功しようとした。結局2人の差はそこにあったのだろうか。そんな風に考えた。


ダニエルの生き方を、個人的には認めたくはないと思う。しかし、狡猾であることは美徳でもある。ダニエルは成功者だった。それだけは事実だと思う。彼のように生きたいかどうかはとにかく、ダニエルのような人間がいることを考えながら生きないと、イーライのように何もかも奪われ、あざ笑われるだけの存在になり果てるのだ、ということか。ラストの横たわったイーライの脇で画面越しにダニエルが振り返る。疲れ果てたような、しかし観客に対し「この顔を忘れるな」と言っているようでぞっとした。


おススメ度: 観る人によって好き嫌いが分かれるだろうな……、と思う。暇つぶしで観るには、結構重い作品だと思うし。女っ気もないし。でも、おススメ度はにしている。じっくり腰を据えて観ていただきたい名作。




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