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歴史映画紹介


明日への遺言(2007年)


DIE GUSTLOFF/ドイツ

監督:小泉堯史

<キャスト>  岡田資:藤田まこと  フェザーストン主任弁護人:ロバート・レッサー  バーネット主任検察官:フレッド・マックィーン  ラップ裁判委員長:リチャード・ニール 他

2008年劇場公開(アスミック・エース)



「明日への遺言」予告編



1945年5月14日の名古屋空襲で捕虜とした米軍兵38名を正当な裁判を経ずに処刑したとして横浜の軍事裁判で絞首刑が言い渡された岡田資中将を主役にした作品。岡田中将はこの裁判を法による戦い、法戦と位置づけ、米軍の無差別爆撃の非正統性を訴え、捕虜処刑の正統性と、全責任は自分にあるとその主張を展開した。その高潔な姿勢は、判事や米軍の検事の心も揺るがし、米軍に名古屋空襲は国際法違反であるとの見解を導き出した。処刑に当たっては検事や弁護人から助命嘆願や、GHQの法務担当官も、犯罪者として絞首刑ではなく名誉ある銃殺刑とすべきとの見解を出したが、マッカーサー総司令官はそれを認めず、1949年9月17日、絞首刑となる。享年59歳。実話に基づく物語。


物語のほとんどが法廷劇ではある。しかし、そこは紛れもない“戦場”であったのだ。と感じた。静かな中に、凄みのある役者陣や画像になっている。絞首台に向かう藤田まこと演じる岡田中将の姿は“誇り”という言葉をそのまま画にしていた。岡田中将の主張や、行動の是非について問うのは難しい。たしかに、それをしなければならないが、そこは、焼夷弾で焼け払われ、混乱の真っただ中だったのだ。後になって、ああすれば良かった。こうすればよかった、と言うことほど容易いことはない。それでも、これを見た人はきっと何かを感じるだろうと思う。戦争を知らない世代は、是非一度見るべき作品だと感じた。万人受けするような作品ではないが、とても志の高い作品だと感じた。


オープニングのナレーションがいわゆる無差別爆撃が国際法違反であることの説明から入ってくる。“戦争”が何をやっても許されることと思っている人間も本当にいて、戦争にも戦争のルールがあってそれを違反すると罪となることを、最初に説明をしないと戦争や軍隊を知らない人間には理解できないのかもしれない。言われるまで考えもしなかったまさに「戦争も軍隊も知らない戦後生まれ」の自分のことなのだけれど。


おススメ度: 地味な作品だが、なかなかいい作品。法廷劇でありながら、これは戦争映画だ。文字通り敵に囲まれた状況の中、自分の主張を相手に伝え切り最後は認めさせることにまで成功したその姿は、尊敬に値する。動きの少ないドラマだが、単調な法廷劇ではない。戦争という者の理不尽を戦争の場面をあまり使わずに暴き出した名作だと感じる。おススメ度はとしている。



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