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歴史映画紹介


武士の家計簿(2010年)


日本

監督:森田芳光

<キャスト>  猪山直之:堺雅人  猪山駒:仲間由紀恵

猪山常:松坂慶子  西永与三八:西村雅彦  おばばさま:草笛光子  猪山信之:中村雅俊 他

2010年劇場公開(アスミク・エース=松竹)



『武士の家計簿』 予告



この映画の原作である『武士の家計簿 「加賀藩御算用者」の幕末維新』は磯田道史氏の著作で、一般向けの教養書。江戸末期の加賀藩の下級藩士で御算用者(会計処理の役人)を務めた猪山家に残された、約37年間の入払帳や書簡をもとに、当時の日常生活や武士階級の風習などが描かれている。

映画『武士の家計簿』では、猪山成之(幼名は直吉。後に兵部省会計少佑海軍掛、海軍主計他大監、呉鎮守府会計監督部長などの要職を歴任し、新政府の財政を支えた)をナレーションに、8代目の猪山直之を主人公に猪山家の借金返済に一家を挙げて奔走する姿や、藩内の政争、幕末維新の動乱に否応なく巻き込まれていく姿が描かれている

129分という時間の中に、刀ではなくそろばんを誇りに、激動の時代を生きた1人の侍を中心に色々詰めこんだ作品になっているが、個人的には一体何が描きたいのかわからない……と感じた映画だった。積もりに積もった多額の負債を処分するための一家の奮闘をユーモラスに描く作品なのか、大藩の台所の窮状を様々な抵抗をはねのけ改革を断行していくシリアスな政治ドラマなのか、幕末から明治維新を舞台にした立身出世の物語なのか……。正直どれかに絞って描けばいいのに、と思わざるを得なかった。

明治維新がなり、多くの武士が没落していった。反面、明治政府の官僚の3分の1は敗者であった幕臣であったともされる。明治維新に功績のあった薩長土肥の元藩士や公家ばかりではとうてい国政を担うことなどできず、猪山成之のように主流でなかった藩からも多くの人材が才覚を見出されて登用された。明治というのは現代に生きる私たちがが思っている以上の実力主義の時代だったと言える。猪山成之に徹底的に算術を叩き込んだ猪山直之の考えは……もちろん、幕末の動乱に身を投じてほしいとは思っていなかっただろうが、結果的に成之の命と人生を救うことになる。芸は身を助ける、とはよく言ったものだ。


おススメ度: 全体的に薄い作品という印象が強く、おススメ度はDとしている。『武士の家計簿 「加賀藩御算用者」の幕末維新』を読む際の参考や、イメージづくりの一助、とするには、少々高すぎる買い物になってしまうだろうか。




【原作】




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【猪山直之】