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歴史映画紹介


日本の黒い夏 冤罪(2000年)


日本

監督:熊井啓

<キャスト>  笹野誠:中井貴一  浅川浩司(コージ):北村有起哉  野田太郎(ノロ):加藤隆之  花沢圭子(ハナケイ):細川直美  神部俊夫:寺尾聰 他

2001年劇場公開(日活)


【松本サリン事件】 1994年6月27日の夕方から翌日6月28日の早朝にかけて長野県松本市にカルト宗教団体によって神経ガスのサリンが撒かれた事件。7人が死亡(第一通報者の妻が14年後に死亡したため8人になった)660人以上が負傷した事件。一般市民に対して初めて化学兵器が使用されたテロ事件でもある。


1994年に起きた松本サリン事件では、第一通報者宅に6月28日に家宅捜査が行われ、警察の決めつけによる強引な捜査、マスコミは農薬からサリンが作れるというでっち上げを垂れ流し、無実の第一通報者があたかも犯人であると決めつけたような報道を続けた。


原作は、長野県松本美須々ヶ丘高等学校放送部制作のドキュメンタリービデオ作品『テレビは何を伝えたか』を元にした、平石耕一の戯曲『NEWS NEWS』だという。この作品も、高校生が独自のドキュメンタリー映画を作るためにローカルテレビ局「テレビ信濃」を訪れ、事件報道にかかわった笹野、浅川、野田、花沢らが、2人の高校生に事件の裏側で何があったのかを伝えていくという話の筋立てになっている。内容的にも見る価値のある作品。10点満点なら8点くらいつけてもいい作品だと思う。


ラストに大変リアルに事件当夜の映像が流される。ラストのサリンが撒かれる場面で、サリンが白い霧状に描かれている。これは、実際の目撃情報でも白い霧のようなものを見たという目撃情報があったそうだが、本来のサリンは無色無臭なんだそうだ。松本、それから95年3月に新宿で撒かれたサリンは不純物が混じった軍用としては不十分な代物だったという。


個人的には、この場面はオープニングに持ってきたほうが良かった、と感じた。ラストに持ってくると付け足しのような印象を受けた。物語の始まりは、高校の放送部のメンバーがドキュメンタリー作品を作るため、取材を受けてくれた「テレビ信濃」を訪れるところから始まる。テーマは、「松本サリン事件で、第一通報者に対する報道被害はなぜ起きたのか?」 未曾有の犠牲者を出した松本サリン事件は、翌日には第一通報者の家宅捜索が行われた。マスコミ各社は警察のリーク情報により、「農薬を作ろうとして青酸ガスを発生させた」と報道した。かつて誤報をしたことがあった笹野は、慎重に真偽を確認するように指示を出すが……。やがて、現地で撒かれたのはサリンであることが報じられる。


作品の中に、浅川というクルーが出てくる。「自分たちの報道は間違っていなかった。見いていた人間が勝手に勘違いをしただけ」という彼の言葉こそが報道関係者の本音ではあるまいか。高校生に報道現場の人間が語って聞かせる、という設定にしたせいで、マスコミを美化した作品になってしまった感がある。


松本サリン事件の原因は、住民からの立ち退き要求を受けていたカルト宗教団体が、裁判を担当する判事を狙って長野地方裁判所松本支部官舎近くの住宅地にサリンをばら撒いたというものである。第一通報者の家宅捜索の令状を出した松本簡易裁判所は同僚を殺害しようとしたテロ組織の片棒を結果として担いだことになる。


おススメ度: 内容自体は是非見るべき作品だと思うので、おススメ度はにしているが、ただ語って聞かせるだけの話ではなく、独自の調査や行動を通じて真相に近づいていく話にしたほうが、より面白くなっていたのではないか、と思う。




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