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歴史小話


ルイス・エドソン・ウォーターマンの万年筆開発秘話



歴史映画に限らず、映画の中で署名をする場面はよく出てきます。欧米では自筆のサインは日本の実印や印鑑証明にも匹敵する意味を持っているそうです。万年筆は筆記のための代表格の文具で、戦前は世界の半数が日本製でした。1960年ごろまで、手紙や公文書の改ざん防止のためペンとともに重宝されていましたが、やがてボールペンの登場とともに公文書でもボールペンが使用できるようになり、万年筆は一般的な文具ではなくなりました。現在では、万年筆のデザインや希少性に着目し、趣味の高級文具として、コレクターズアイテムとして注目されています。

インク壺からインクを木や魚の骨などをペン先にして書くやり方は古くからおこなわれており、鵞鳥(ガチョウ)の羽根を使うやり方が17世紀に使われるようになると、その時代がしばらく続きました。万年筆の原型といわれるのが1781年にフランスの科学者ニコラス・バイオンによって作られたとされるペンです。素材は真鍮製でペン先は鵞鳥の羽根を短く削ったものでした。

19世紀の初めにジョン・シェーファーが発明した現代の万年筆の原型になっている『ぺノグラフィック・ペン』や1850年代に、初めてエボナイトという素材を利用したニューヨークの牧師プリンスが発明した万年筆などが登場していましたが1883年にルイス・エドソン・ウォーターマンにより、万年筆は大きく推進されました。

そこには、開発秘話として、一つのエピソードが残されています。それはルイス・エドソン・ウォーターマンが保険会社のセールスマンをしていた時の出来事です。あるとき、契約書にサインをしようとしたルイスが、使っていた万年筆からインクがぼたぼたとこぼれてしまいました。当時の万年筆はまだ不完全だったため、インクがこぼれたりしていたのです。そのことが原因で相手の会社を怒らせてしまい、ライバル会社に契約を持っていかれてしまったルイスは万年筆の不完全さを思い知り、万年筆の改良を思い立ったという話です。

不便を感じたことを改良することで新たなビジネスにつながるという良い例ですが、不思議な事にこの話が最初に出てくるのはウォーターマン社の創設50周年の機関紙(1934年に発行)でそれ以前には全く出てこないのだそうです。ルイスは1901年に没しており、この頃は甥のフランクが経営を引き継いでいました。すでにルイスの死から30年がたっており、それまで陰に隠れていた話が表に出て来たとということなのでしょうか。

1882年ごろにはルイスはインク壺とペンを持ち歩いていたとも言われ、まだ不完全だった万年筆は使用していなかったとも言われます。いずれにせよ、ルイスがこの当時の万年筆に不満を抱いていたのは事実のようで、やはり、必要は成功の母であったのだなぁと感じます。