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歴史小話


近藤勇の刀は長曽根虎徹だったのか



幕末の新撰組局長・近藤勇の所持していた刀は、江戸中期の名工、長曾根虎徹であり、ドラマなどでも度々題材にされます。近藤勇は試衛館の門弟とともに、文久3年(1863年)、14代将軍・徳川家茂の上洛にあわせて清河八郎の提案で結成された「浪士組」に参加しました。この時、将軍警護の武士の持つ刀は、相応の一振りでなくてはならないと、刀商人から長曾根虎徹を買い受けました。

もっとも、現在では江戸後期の刀匠・源清麿の打った刀に偽銘を施したものとする説が一般になっているようです。虎徹が一介の道場主に買えるような代物ではなく、足元を見られて偽物をつかまされたと言えば聞こえは悪いですが、源清麿は当時第一級の名工であり、現在では新々刀(江戸時代後期から明治前期に打たれた刀。長曾根虎徹が活躍した江戸時代中期に打たれた刀を新刀と呼びます)の中でも特に破格の値が付く人気の刀匠でもあります。ある意味で、虎徹の名を冠して偽物を売りつける以上、相応の品物を用意しなければならないという、騙す者にも騙すなりの矜持を感じます。

司馬遼太郎の新選組血風録でも近藤勇の長曾根虎徹を題材にした作品があり、その中で、“本物”の虎徹を手に入れた近藤が、不貞浪士の切った折、「虎徹なのに刃が欠けた」と憮然とする場面が出てきます。「相手は鎖かたびらを着込んでいたようです。これでは虎徹といえども刃こぼれをしないはずがありません」という隊士に、「いや、本物の虎徹ならば刃こぼれ一つしないはず」とこれまで通り江戸で手に入れた虎徹を持ち歩く場面や、たまたま虎徹の掘り出し物を見つけたと喜ぶ三番隊組長の斎藤一に対して、副長の土方歳三が「虎徹は新撰組局長・近藤勇の象徴である」として封印させる場面が出てきます。あくまで小説は小説ですが、近藤勇の愛刀が虎徹であったとしても、なかったとしても、その活躍によって“近藤勇の長曾根虎徹”を不動のものに昇華させたと言えるのでしょう。