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歴史映画紹介


ロック〜わんこの島〜(2011年)


日本

監督:中江功

<キャスト>    野山松男:佐藤隆太  野山貴子:麻生久美子  野山芯:土師野隆之介  野山房子:倍賞美津子  真希佐代子:原田美枝子


2011年劇場公開(東宝)



『ロック 〜わんこの島〜』予告編



【三宅島噴火】 三宅島は伊豆諸島のほぼ真ん中に位置する55.50平方キロのほぼ円形の島。気象庁から火山活動ランクAの常時監視対象火山に指定される活火山である。2000年6月の終わりに発生した群発地震を端緒に、7月初めに小規模な噴火が発生すると、その後も断続的に噴火が発生。大量の火山灰が降り注いだ。8月18日には最大の噴火が起き、8月終わりには火砕流が発生し海岸にまで到達した。8月半ばには陥没火口の噴火口から火山ガスが発生。12月初めには1日23万トンもの有毒ガスを発生させる世界でも例を見ないような事態になった。二次災害の危険があまりに高くなったために、9月2日には全島避難が決まる。避難解除がとかれたのは2005年。4年5ケ月ぶりのことだった。その後も復興活動は着実に成果を上げているものの、火山ガスは現在も発生しており、2011年現在、山頂付近を含めた島の3割が立ち入り禁止になっている。

 この映画が撮影されるきっかけとなったのは2007年6月にフジテレビ系列めざましテレビの『きょうのわんこ』のコーナーで放映されたエピソードから。ロックのことが放映されると、大反響となり、ロック目当ての観光客も現れるほどの人気に。翌2008年には映画化のプロジェクトがスタートした。しかし、ロック自身は2010年春先から体調を崩し、2010年7月15日に映画のクランクインを待つことなく、静かに息を引き取ったという。

 物語の中心は、三宅島で民宿“たいよう”を営む野山一家。小学生の芯は、両親や祖母、そして子犬の頃から一緒だった愛犬の“ロック”と楽しい生活を送っていた。2000年。三宅島の火山活動が活発になった。20年に1度くらいは噴火する火山だけに、今回もすぐに終わるだろうと思われていたが、噴火は一向に収まらない。火山灰の降り積もる島から脱出する人たちも続出し、残った人たちにも不安が高まって行く中、最大級の噴火が起こり、ついに全島避難が決定した。避難船の上から高く立ち昇る火山灰を呆然と見つめる三宅島の住民たち。しかし、その頃ロックがゲージから逃げ出していた。

 ロックとの再会を信じ、東京で新たな生活を始めた野山一家。そんな折、瀕死のラブラドールレトリーバーが保護されたとの報告が入り、三宅島噴火災害動物救護センターへと向かう。ロックは確かに生きていた。生命の危機を脱したロックだったが、仮設住宅に住む野山一家にロックを飼うことはできない。慣れないセンターの生活にストレスで衰弱していくロック。それを見かねた獣医の真希はロックを里親のもとに預けることを提案するのだが……。

 ここから先はラストまでネタばらししているので、まだ見ていない方は読まない方がいいと思う。確かに突っ込みどころは満載の映画ではあった。泣いてくださいと言わんばかりの演出にも感じた。思わず失笑してしまう場面も沢山。しかし、観る前に某サイトなどで語られていたような低評価の映画には思えなかった。……途中までは。やはり、問題はあのラストだろう。芯はロックのためを思い、里親の元に預けることを決心する。しかし、芯の父親は、里親たちに一つの約束を取り付ける。それは、いずれ三宅島に帰る時がきたらロックを返してほしい……というものだった。しかし、帰島が叶うのは噴火から4年以上が経過してからだった。そうすると、4年間も飼ってきた飼い主たちはどうなるのよ? という気がひしひしとしてくるのだ。しかも、里親役の人たちの顔は全く写されず、野山家の誰のセリフにも里親への謝罪も感謝の言葉も、態度としてさえ、あらわされることはない。このラストを見て少なくとも自分はこう思った。……結局この人たちは自分のことしか考えていないんだなぁ、と。自分たちだけが不幸で、一方的な庇護を受けて当然の人間だと思っていたんだなぁ……と。

おススメ度: 個人的にだけれど、あのラストで全ての印象が最悪の方向に向かった気がする。そのせいで、辛辣な評価になってしまったきらいはある。おススメ度はDにしておく。物語が大きく動く避難船の場面で映し出された記録映像は、三宅島噴火と全島民避難の歴史を過去のものにしてはならないと思いつつも、すでに10年が経ってしまったのだと実感させられた。




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