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歴史映画紹介


日輪の遺産(2010年)


日本

監督:佐々部清

<キャスト>  真柴司郎(近衛第一師団・少佐):堺雅人   望月庄造(座間五百一連隊・曹長):中村獅童  小泉重雄(東部軍経理部・主計中尉):福士誠治  久枝:森迫永依  野口孝吉(森脇女学校教師):ユースケ・サンタマリア 他

2011年劇場公開(角川映画)



映画『日輪の遺産』特報



浅田次郎原作の同名小説の映画化。長崎に原爆を投下された翌日から玉音放送までの5日間を舞台に、歴史の暗部に巻き込まれた3人の軍人と1人の教師、そして20人の少女たちの物語。戦時下に生きた人間の壮絶な“誇り”を描いた作品。


時は1945年8月10日――。広島に続き長崎にも原子爆弾が投下され、もはや降伏よりほかはなし、という状況に至ってなお、陸軍内には無謀な本土決戦の主張がまかり通る現実に、戦場を知らない陸軍参謀・真柴少佐は憤っていた。そんな少佐のもとに軍の最高幹部しか知らないある密命が下される。それは、かつてフィリピンからダグラス・マッカーサー連合軍司令官から日本軍が奪い取った隠し財宝を密かに隠せというものだった。たとえ、今は敗北を喫したとしても、その金を元に再び日本を再興できるはず。そんな未来への希望を託されたのは真柴少佐、大蔵官僚の小泉中尉、そして中国戦線を生き抜いた軍人・望月曹長。そして、かねてより思想に問題があると見られていた野口教諭と、教え子の20人の少女だった。


作業は滞りなく終わるも、真柴少佐たちには最後の仕事が残っていた。それは秘密保持のために野口教諭と20人の少女を青酸カリで殺害すること。しかし、そのような命令に従うことはできない。終戦を目前に最後の行動を起こそうとする陸軍の不穏分子に騒然とする東京へと戻ってきた真柴少佐は、今まさに自決して果てようとする阿南陸軍大臣から命令を撤回させる。そして、運命の8月15日――。玉音放送が流れ、長く苦しい戦争が終わったことが天皇陛下自身の声で国民に――20人の少女にも聞かされた。ほっとしたのもつかの間、真柴は、口封じのために渡されていた青酸カリがなくなっているのに気づく。体調を崩していた少女の一人が、真柴少佐と小泉中尉の話を聞いていたのだ。たまたま、その場にいなかった委員長の久枝が同級生が自分を残して逝ってしまったのだと知ったのは、すべてが終わった後のことだった。しかし、すべてが終わったわけではない。それは生き残った4人の、孤独な戦いの始まりだった。

 

結局最後まで見て、一体何が言いたいのかよくわからない……と感じた作品だった。原作を読んでいないので、原作を読めば疑問点や納得のいかなかった点が解消されるのだろうか、とも思う。結局、物語の中心になる「久枝を除く19人の少女の自決の場面」に至るまでに力を注ぎすぎ、それ以外の部分をおざなりにしてしまったのではないかという印象を受けたと同時に、その後の話は必要ないのではないかという印象も受けた。


しかし、19人の少女の自決を、単純に死を美化していると非難しながら鑑賞するのは、この作品の表面しかなぞっていないのではないか、という印象もまた受けた。自決したのは、20人ではなく、19人だったのだ。19人もいて、誰一人久枝がいないことに気付かなかったとは思えない。久枝は委員長でもあり、信望もあったはず。それらを考えると、作中にはでてこない級友たちの久枝に対する複雑な心境も垣間見える気がする。そして、19人の少女(と野口教諭)が自決するまでに至るまでの流れは、久枝の独白という形で描かれている。自分一人だけが生き残ってしまったという思いや、自分だけが置いていかれたという思いが、結果、かつての級友と教諭の死を必要以上に“美化する”という形で記憶させてしまったのではないか、という気もする。


おススメ度: 最後にひとつ気になったのが、ラストで久枝と望月曹長の孫である金原涼子がすでに婚約者の後藤俊太郎の子供を宿していることが明かされる。しかし、冒頭で望月に「子供ができたのではないだろうな?」と問われた後藤は、そうとは知らなかったとはいえ死の間際の望月に「自分たちは教師だからそれはない」と、きっぱりと否定する。この流れに意味があったのかどうかわからないが、事の良し悪しはとにかくとして自分たちの責任を全うしようとした20人の少女たちの物語の終わりにしては、ちょっと無責任すぎやしないか? と感じたものだった。個人的には最後の最後で台無しにされたような気がして、おススメ度はCにしている。




【原作】




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